雨の日と青い鳥 と 土のにおい
春の雨は
「朝から雨が降っていた。春の雨は土のにおいがする。」
このフレーズから始まる、
中沢けい さん の『雨の日と青い鳥』。
中学2年生の国語の教科書に載っていました。
「春の雨は土のにおいがする。」という言葉が大好きで、
大人になった今でも、雨の日に思い出します。
土のにおいは
雨の日に、実際に「土のにおい」を感じるかというと、
必ずしもそうではありません。
アスファルトで固められた道を通っていて気づくのは、
微かに感じる「ゴミのにおい」。
特に陰鬱な通勤の日には、
よく注意して探さなければ気づかないような微かな におい にも、
過敏に反応してしまいます。
それでも、「春の雨は土のにおいがする。」という言葉を思い浮かべると、
たとえそれが春でなくとも、
すっ と爽快な「土のにおい」を感じることができるから不思議です。
におい と におい
「におい」という言葉に漢字をあてると、
「匂い」あるいは「臭い」となります。
一般に、
前者は良い「におい」を
後者は悪い「におい」を
表すかと思いますが、
「春の雨は土のにおいがする。」には、
どちらの「におい」があてはまるでしょうか。
春の雨は土の匂いがする。
春の雨は土の臭いがする。
黒い土のにおい
春の雨の日に漂う土の「におい」を、
登場人物である育海は、
次のように表現しています。
「花の球根や野菜の種の優しいにおいだ。」
「黒い土のにおいをかぐのは好きだった。」
「スカートのすそに泥はねが付く雨の日は好きではない」育海が、
このように表現しており、
「土のにおい」が肯定的に捉えられていることが分かります。
土 の におい は 良い 匂い?
それでも、
春の雨は土の匂いがした
という表現には違和感があります。
「土のにおい」は、
匂い も 臭い もすべて含めた、
自然な、そのままの「におい」だから、
匂い でも 臭い でもなく、
「におい」になるのかもしれません。
ちなみに
こんな書籍もありました。
気になります!